高経年賃貸マンションの建築的潜在価値の分析と、社会的価値付加による不動産再生の検討
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2024/0/JSAI2024_2O5OS25b01/_article/-char/ja
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2024/0/JSAI2024_2O5OS25b01/_pdf/-char/ja
序論
福岡市における高経年賃貸マンションの再生可能性を評価し、社会的価値を付加することで不動産の価値向上を図る方法を検討します。本論文は、特に「建築的潜在価値」を見出し、再生可能な物件を特定するための手法を提案します。
研究の背景
高度経済成長期に建設された賃貸マンションの老朽化が都市の課題となっています。これらの物件の現状を理解し、再生するための情報が不足しています。再生の成功事例として、65年経過した「冷泉荘」を取り上げ、その手法を基にした「不動産の社会的価値分析方法」を開発しました。
研究方法
- データ収集: 福岡市の賃貸マンションのデータを収集し、建築年数や物件の状態などを調査。
- 評価指標の設定: 建築的潜在価値を評価するために「レトロ魅力指数」を導入。
- 比較分析: 冷泉荘と類似プロジェクトを比較し、社会的価値の向上を定量的に評価。
実験と結果
- 冷泉荘の事例分析: 冷泉荘は再生により高い社会的価値を持つことが確認されました。
- 社会的価値の可視化: 新たに開発した「社会的価値分析方法」を用いて、冷泉荘の社会的価値が同様のプロジェクトに比べて優れていることを確認。
- 潜在価値の評価: 建築年数だけでなく、建築的魅力を考慮することで、再生可能性の高い物件を特定することができました。
考察
建築的潜在価値を考慮することの重要性が示されました。従来の評価方法では見落とされがちな物件の魅力を再発見し、再生に繋げることが可能です。また、社会的価値の視点からの評価が不動産価値の向上に寄与することが確認されました。
結論
本研究は、高経年賃貸マンションの再生において、建築的潜在価値と社会的価値の両方を考慮する新しい評価方法を提案しました。この方法により、都市の持続可能な発展に寄与することが期待されます。